高自然放射線地域での検証

ピットからの高濃度汚染水が止まって本当に良かったです。それにしても今までの事故対応、もっとスピーディにできた部分も多かったと思いますが、この大事においても私利私欲を働かせている与党政治家による人災的部分がなければ。残念です。

先日の1万トン以上の低濃度汚染水排出を初めて聞いた時には、TVで聞いたのですが本当に驚きました。ながらで見ていたことや、その数字の大きさと100倍というイメージに、相当のショックを受けたことは事実です。そのため調べた訳で昨日のブログに繋がっていますが、低線量率放射線領域の実態が完全に解明されていない以上、LNT仮説によって与えられる脅威の下で判断をしていかなければなりません。

低濃度汚染水は拡散によって希薄化するとはいえ、漁業関係者に与えられた影響は測り知れません。人災を最小限に抑えようという努力が実績として全く現れてこないどころか、あえて失態を繰り返しているようにも思えます。官房長官の危機管理能力も疑問で、避難地域の基準とする数値を、まだ決定していないのに口にしたりする。下の下策だ。

放射性物質が水に移行しているため、今のところチェルノブイリのような拡散も回避出来、この高濃度汚染水をある程度閉じ込めておけば、除染によって浄化もできる。被害は最小限に抑えることができるだろうから、関係者には本当に頑張ってほしいし、政府および関係のないマスコミ等は邪魔しないでほしい。

ドイツ気象局の拡散予想が報じられて、日本がこれを公開しないことの非難がされていますが、果たしてそうでしょうか。結局ドイツの拡散予想は不要な恐怖を煽っただけだと思います。その理由は先のブログで予想したとおりで、

『予測結果は「実際に放射性物質が放出される濃度を示すものではない」で、一定の気象条件下で「放射性物質が拡散し、薄まるイメージを示したもの」

のような曖昧なものを公表する必要があるとは思えない。原発の水素爆発時には放射性物質が大気中に拡散したので、拡散予想も意味があったと思うけれど、現在は爆発もしていなければ、各地の放射線測定値も減少している状況。環境に強い影響を与える新たな放射性物質の拡散が収まっている中で、あのような拡散予報をだすのは誤ったメッセージになる。実際、誤解された。

影響診断に温度差 ドイツ気象庁、拡散予想図 2011.4.6 11:30 (1/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110406/erp11040611300004-n1.htm


ところで先の低濃度汚染水排出については、フジテレビでは『汚染水排出で各国が非難』と報じたけれど、各国が非難と言う割に報じたのは韓国だけだった。

各国が非難->かっこくが非難->かんこくが非難->韓国が非難

こんな脳内変換がフジテレビでは行われているんだろうか。流石です。ちなみに海流ってどう動くんだっけ?日本のメディアならその位触れてもいいのではないか?おまけに、『CD発売再開』と報じる中で流す映像はKARA。完璧です、フジテレビ。


震災以降の主要なテーマにしてきた放射能ですが、貿易への影響が実際の生活に徐々に影響を及ぼしてくるのでしょう。インドは日本からの輸入を当面禁止しましたが、放射能に関する理解など、どこの国も低いでしょう。過去に被爆経験があり、震災でも高い民度を示した日本以上に理解のある国など期待できないから、現在の日本における風評被害を考えれば、逆鎖国状態となるのも止むを得ない。そのために貿易を拒否する国側でも多大な支障が出るにせよ、見えない恐怖の力は恐ろしい。見えない恐怖と理解不足がもたらす弊害は、今後の世界をどうしてしまうのだろうか。

せめて日本人は毅然とこの難局に立ち向かうべく、しっかりとした理解と覚悟を持っていたいものですが・・・。



さてLNT仮説ですが、これは放射線防護の立場に立ったもので、”高線量率放射線領域では影響があるから、低線量率でも影響があるものと仮定した安全策”ですが、世の中のものすべて”とりすぎは体に毒”なものを”すべて毒”だとはしない。反面、世の中には放射線が存在しているのだから、完全に無くなったらどういった影響があるのかも分からない。それ以前に、宇宙飛行士・・・全然大丈夫なんじゃ?


LNT仮説があくまで仮説であり証明されていないので、低線量率放射線領域をのべつ幕無しに恐怖と考えるものではないと思うけれど、それは専門家の証明をまたなければ一般の人に容易に受け入れられるものではない。もしLNT仮説ではなくNon-LNT仮説を提示していたら、今と全く逆になったのでしょうが・・・因果なものです。

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■なぜ「仮説」なのか?

このように確たる情報に乏しい低線量の範囲について、放射線防護の立場からリスクを推定するために導入されたのがLNT仮説です。低線量放射線の影響についてはよくわからないが、影響があると考えておいた方が安全側だという考え方に基づいたもので、科学的に解明されたものではないことから「仮説」と呼ばれています。
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つまり、LNT仮説とは非科学的ってことですね。


一般人には自然環境中で存在しうる放射線レベルを指標にするのがわかりやすい。以下のサイトによれば(Gy表記ですが)、日本の0.43mGy/yに対してラムサールは10.2mGy/y。最大値は260mGy/y(29uGy/h)なので、日本の604倍(ラムサール対デンマークでは788倍)に達します。このくらいの変動幅は普通のものであるという理解をまず持つ必要があると考えても差し支えないのでしょう。

世界各地の大地から受ける年間自然放射線量
http://www.taishitsu.or.jp/radiation/index.html


こうした調査は数十年行われている模様。『電力中央研究所』もその一つで、高自然放射性地域(HBRA)を対象にした住民調査を行っています。調査対象として中国(6.37mSv/y)を用いていますが、約20年間に及ぶ調査の結果、”放射線に起因するがんリスクの増加は認められない”と結論付けています。

「電力中央研究所報告 高自然放射線地域住民の疫学と染色体調査についての最新知見」財団法人電力中央研究所(CRIEPI) 平成20年5月
岩崎 利泰 (原子力技術研究所・放射線安全研究センター)
http://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/leaflet/L07003.pdf

財団法人電力中央研究所(CRIEPI)
http://criepi.denken.or.jp/


この電力中央研究所(電中研)とは、吉田茂首相の時代に設置された電気事業再編成審議会が発足のきっかけだそうです。このため電中研の報告が電力事業者寄りであるという可能性は考慮しないといけないですが、逆に考えれば、誤った認識を払しょくするために研究を奨励するとも考えられる何れにせよ研究結果が論理的であるかどうか。


この電中研の配下に「原子力技術研究所 放射線安全研究センター」があります。
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/

ここが主張している内容は、先日紹介しています稲博士のYoutube講演と同じ内容です。どうやら稲博士はここの特別契約研究員でもあるようですが(ウィキペディアによれば)、少なくとも彼個人の主張ではないことが分かります。

-<主張する内容>-----------------------------------------
放射線影響は、広島・長崎の原爆被爆者12万人を戦後50年以上調査しても100ミリシーベルト(注)以下の低線量域においては明確なデータは得られておらず、十分にわかっていません。
一方、中国とインドにおける自然放射線レベルの高い地域に住む住民の調査をしたところ年間5~15ミリシーベルト程度の放射線を受けてもリスクが上昇しないことが示される結果が得られています。
上記やその他のこれまでの種々の研究から、少ない線量(200ミリシーベルト以下)の放射線を浴びることのリスクは、客観的・科学的に見て心配するような大きさではないといえます。
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稲博士と「原子力技術研究所 放射線安全研究センター」との主張の相違は、『放射線ホルミシス』効果に対する認識にあるようです。稲博士はこれを肯定する主張をしていますが、センターとしては否定はしないものの中立的立場をとっています。

この放射線ホルミシスとは元々は米国ミズーリ大学教授のトーマス・D・ラッキー博士が1982年に提唱したものだそうで、『身体のあらゆる活動を活性化し、病気を治したり、病気にかからない強い身体にしたり、老化を抑えて若々しい体を保つなど、さまざまな体によい影響を及ぼす」というもので、放射線は少しでも有害であるとする社会通念や放射線防護の規制概念とは全く異なる画期的なもの』と主張。こうして考えると、LNT仮説の安易な肯定は非常に疑問でありながらも、「放射線ホルミシス」は評価段階と考えるべきでしょうか。

ネット上では博士に対する誹謗中傷も見られますが、LNT仮説への疑問は彼のみの主張ではなく、また「放射線ホルミシス」も、少なからず何かがある可能性を持っていることと考えることが出来るでしょう。LNT仮説が仮説である以上、低線量率放射線領域に対する解明努力を進めてほしいものです。


先ほどのものは中国の高線量地域での検証結果ですが、以下はマウスを使った実験です。実験は2004年のもので、マウスが対象ではあるけれど、相当量の線量を与えても、少量ずつ照射することでは興味深いデータが得られていることも事実のようです。

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「がんや糖尿病などになりやすい体質のマウスに微量の放射線を照射して、病気や寿命への影響を調査した結果、微量の放射線は生体の防御機能を強める効果があると考えられる」

<結果:1.2mGy/h×450日照射>
・自己免疫疾患のマウスの寿命向上
・糖尿病の発症の抑制
・糖尿病モデルマウスの寿命の延長
・総線量が10Gyを超えてもリンパ腫の発生は認められず

電中研ニュース401「解明すすむ微量放射線の影響」2004.9
低線量率放射線研究センター 上級研究員 酒井一夫
http://criepi.denken.or.jp/research/news/pdf/den401.pdf
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ところで・・・調べていくと、チェルノブイリの被害者数に対する検証も、問題のある計算を経た後に現在は4,000人でIAEA/WHOなどで合意を得ています。その問題のある計算方法とは、「放出されたと考えられる地域すべて」を問答無用で対象としたようで、自然界に存在するレベルを無視した計算をしていたという。今回の報道でも”被害者はもっと多い”と主張する学者たちは、こうした誤った計算方法に則っているようです。

http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/20060904.html



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